獅子座の神話ヘラクレスがライオンと戦い、
ライオンの強さを称えた話
獅子座の神話は、ヘラクレスが凶暴なライオンと戦ったエピソードから来ています。
具体的にどのような状況だったのか、ストーリー仕立てでお話します。
正妻ヘラのうずまく嫉妬
古代宮殿にて、威厳ある雷光を放つ神々の王、ゼウスがいました。
そして、ゼウスをひっそりと見つめる一人の女性がいました。それはゼウスの3番目の正妻、ヘラです。
ヘラはゼウスに対し、尊敬と愛欲に満ちたまなざしで見つめる一方、その瞳の奥には、嫉妬と怒りの感情も混じっていました。
ヘラ「ああ、ゼウス様…なぜあなたは私だけを愛してくれないの?」
ゼウスは気まぐれな愛に溺れ、他にも多くの妻や愛人たちがいました。愛人たちの間にも子供が生まれ、その中でもひときわ目を引くのが、ヘラクレスでした。
ヘラクレスは立派な戦士で、彼にも妻と子供がいました。
幸せな家庭を築いているヘラクレスを見て、ヘラの心は、ザワついていました。
ヘラ「なぜ、あんな愛人の子供が、あんなに幸せそうなの?忌々しい」
ゼウスにあまり愛されないヘラ、それに比べて愛に包まれて実績もあるヘラクレス。ヘラはヘラクレスが気に入りませんでした。
ヘラの策略
ある日、宮殿では神々の宴が開かれました。
そこでヘラは、神殿の神託を伝える巫女に話しかけにいきました。
ヘラ「ねえ聞いて、私はとても恐ろしい噂を聞いてしまったの」
巫女「どんな噂ですか?」
ヘラ「ヘラクレスの妻は、本当はヘラクレスを愛しておらず、浮気しているらしいの。しかもヘラクレスの子供たちも、父親を軽蔑していて、殺す機会をうかがっているというではありませんか」
巫女「それは本当ですか?大変な話ではありませんか」
ヘラ「ヘラクレスが危ないかもしれないわ。だからあなたの神託で、ヘラクレスを助けてあげてくれないかしら」
巫女は迷いました。もし噂が本当なら、ヘラクレスは危ない。
正しい神託をしなければならない…と感じた巫女は、心がざわついていました。
また、神々のあいだでもヘラクレスの妻子が裏切り行為をしている、という噂が広まっていました。これはヘラクレスの耳にも入り、妻子を愛していたヘラクレスも、心がザワついていました。
そんな状況で、巫女が神託を出しました。
神託の内容は、
ヘラクレスが自分の手で、妻と子供たちを殺す
という運命でした。
この神託は、ヘラが巫女の心を巧妙に操作した、嘘の神託でした。
ヘラクレスはこの神託を受けて、不安と怒りに囚われるようになりました。
ヘラクレスは神託のことばかり考えるようになり、次第に混乱していきました。
周囲の神々も、ヘラクレスが妻子を殺す、と噂するようになり、すでに罪人のような目で見ることもありました。
やがてヘラクレスは、神託が現実であるかのように狂気に囚われ、最終的に本当に殺してしまったのです。
妻子を殺したヘラクレスは、ふと正気に戻りました。
ヘラクレスは、激しい怒りと自己嫌悪に陥り、悲し嘆きました。
そのかたわら、ヘラは満足そうに笑みを浮かべていました。
ヘラクレスは罪を償いたい
ヘラクレスは、自らの罪を償うために、神々の王ゼウスに相談しました。
ヘラクレス「わが父ゼウスよ、私は自らの過ちを罰せられるべきです。私の行動が、苦しみと混沌を生んでしまいました。どのようにして償うべきでしょうか?」
ゼウス「ヘラクレスよ、お前の誠実な悔いは神々に届いている。罪を償うには、試練と贖罪の旅をしなさい。ティリュンス地方の王エウリュステウスのもとへ行き、彼の課す12の試練に挑戦しなさい。その道のりは険しいだろうが、お前が自らの過ちを知り、成長する手助けとなるだろう」
ヘラクレス「わかりました。私はこの試練を乗り越えて見せます。どのような試練でも果たし、罪から解放される日を夢見て」
そしてヘラクレスはエウリュステウスのもとを訪れ、12の試練を与えられました。
その一つが、ライオン退治です。
なお、このヘラクラスの12の試練は、12の難行とも呼ばれ、かに座の神話となるヒドラ退治も、難行の一つとして有名です。
ライオン退治
ネメアの森では、獰猛なライオンが住んでいました。このライオンは神秘的な力によって不死身であり、動物だけでなく人々も食い散らかし、恐怖と混乱を巻き起こしていました。
エウリステウスは最初の試練として、ヘラクレスにライオン討伐を命じました。
ライオンは巨大で牙と爪が鋭く、普通の手段では倒せないほど強力でした。しかし、ヘラクレスは勇気と決意を持って、挑むことを決めました。
後日。
ヘラクレスは、ライオンの縄張りへ到着しました。
作戦は、隠れた場所でライオンを待ち伏せし、得意の弓矢で一撃で倒すことでした。
ヘラクレスは森に隠れ、じっとタイミングを見計らって、ライオンが来るのを待ちました。
そしていざ、目の前にライオンがやってきました。
ですが皮膚の堅いライオンには刺さりませんでした。
ライオンはヘラクレスに気づき、すぐに向かってきました。
ヘラクレスは力づくで倒すしかないと考え、持っていた棍棒を、力いっぱい振り下ろしました。
しかし、こん棒はバキバキに折れてしまいました。ライオンはダメージを受けていない様子です。
武器が使えなくなったヘラクレス。
向かってくるライオンに、このまま殺されてたまるかと、素手で応戦しました。
ヘラクレスは死に物狂いでライオンの首を引き寄せると、強く首を絞めました。
それからどのくらい時間がたったでしょう?気づくと、ライオンの息の根は止まっていました。無我夢中の退治でした。
ライオンへの敬意
ヘラクレスは、強かったライオンに敬意を払いました。
ライオンも生きるために生活していたのだし、ライオンの強さは尊敬に値するものだったからです。
彼はライオンの毛皮を剥ぎ取り、それを身に着けることにしました。
この毛皮はのちに、ヘラクレスの象徴となります。そしてヘラクレスの勇気と、自分の限界を超えた象徴として、ライオンの毛皮が語り継がれることになるのです。
試練を終えた報告
ヘラクレスはエウリステウスのもとに戻り、ライオンの討伐に成功したことを報告しました。
これは彼の12の試練の最初の一歩であり、ヘラクレスの罪の償いと成長の旅が始まるスタート地点となりました。
まだまだヘラクレスの贖罪はこれから始まります。
ライオンからの戦利品
ヘラクレスはさらに、ライオンの牙や皮などを、武器や防具として加工して使うようになりました。
ライオンから多くの戦利品と勇気の象徴をもらったことに感謝し、ライオンを星にしました。
これが獅子座として語り継がれるようになりました。
神話から見る獅子座の性格
星座占いでは、獅子座の人は情熱的で、気が強く、リーダーとしての素質を持っています。
ヘラクレスの勇気、ライオンの強さなどが語り継がれるように、獅子座の人も、勇気と強さが象徴となっているのでしょう。
このストーリーをふまえて
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