蠍座の神話オリオンを殺した毒サソリの刺客
蠍座は、オリオンを毒針で一撃する大サソリの姿が星になったとされています。
具体的にどんな状況だったのか、ストーリー仕立てでお話します。
オリオンの妻が殺される
ある日、海神ポセイドンの息子であるオリオンは、愛する妻シデと、穏やかなひと時を過ごしていました。
シデはこんな話をしました。
シデ「私はゼウスの妻であるヘラより美しいわ。ヘラはさぞ、私を妬んでいるでしょうね、おほほほ」
シデの自意識過剰はいつものことでしたが、この話は神々の耳に届き、ヘラの耳にも入りました。
ヘラは自らの美しさを脅かす存在を許せませんでした。
怒りに燃えるヘラは、シデを地上に呼び寄せました。海辺に呼ばれたシデは、ブラブラと散歩していると、突如として不気味な雲が立ち込めました。それはヘラの手によって放たれた雷でした。シデが気づいたのもつかの間、雷はシデを直撃し、命を落としてしまいました。
オリオンは愛する妻を亡くしたことで悲しみましたが、ヘラに復讐をするのではなく、新しい恋を探す旅に出るのでした。
オリオンの次の妻探し
オリオンは、新たな恋を求めて冒険に出かけました。
その途中、キオス島に立ち寄ったとき、国王オイノピオンの娘、メロペに一目ぼれしました。
メロペとの結婚を望みましたが、オリオンは乱暴な性格だったため、オイノピオン王は反対しました。
オイノピオン王「君のような男に娘はやれん。まずは、キオスの荒野に巣食う凶暴なライオンを倒せ。それが出来たら結婚を考えてやろう」
オリオン「お任せください。すぐに退治してみせましょう」
オリオンは狩りの達人でした。そのため簡単にライオンを退治し、その皮をオイノピオン王に捧げました。
オイノピオン王はオリオンの栄誉を称えましたが、結婚にはまだ慎重であると述べ、オリオンとの結婚はひとまず保留にしました。
そんなある晩、宴の席で酔っ払ったオイノピオン王とオリオンは口論になり、オリオンは我慢の限界に達しました。オリオンはメロペを強引に抱こうとし、それによってオイノピオン王との関係が悪化しました。
オイノピオン王の怒り
オリオンがメロペとの関係を強引に求めたため、オイノピオン王は怒り、ブドウ酒の神であるディオニュソスに助けを求めました。
オイノピオン王「ディオニュソスよ、私の娘メロペを不敬に扱ったオリオンに制裁を与えてくれ」
ディオニュソス「あなたのお怒り、よくわかります。オリオンへの制裁を考えましょう」
ディオニュソスは、オリオンに酒を飲ませ、泥酔させました。
オリオン「なんだ、何も見えなくなってきたぞ」
ディオニュソスの酒には神の力がかかっており、視力を失わせることができました。
次第に視力が失われて恐怖におののくオリオンを見て、オイノピオン王は満足げに微笑みました。
オイノピオン王「メロペの名誉が守られた。ディオニュソス感謝するぞ」
ディオニュソス「メロペに平穏な日々が訪れますように」
オリオンは大人しく、キオス島を去るしかありませんでした。
目を治す旅に出る
オリオンは「太陽の光が目を治療できる」という神託を受け、太陽の神であるヘリオスに会いに行きました。
ヘリオスはどうしようか考えていると、ヘリオスの妹エオスが現れ、オリオンに一目惚れしてしまいます。
そんなエオスを見たヘリオスは、恋の手助けとばかりに、オリオンの目を治すことにしました。これをきっかけに、オリオンとエオスの交際が始まりました。
オイノピオン王への仕返し
眼がみえるようになったオリオンは、目をつぶされた仕返しをしようと、オイノピオン王を探しにキオス島へ戻りました。
ですが、オイノピオン王は隠れていたため見つけられませんでした。
オリオンはクレタ島まで言ってオイノピオン王を探していたところ、狩猟と月の女神であるアルテミスに会いました。
アルテミス「オリオン、あなたは狩りの名手だと聞いています。私も狩りが好きなの。あなたの技を見せてもらえないかしら?」
オリオン「もちろんだ」
狩りという共通のスキルを持った二人はあっという間に仲良くなりました。
そしてアルテミスは狩りの達人であるオリオンに一目惚れしました。
オリオンとアルテミスの友情物語は複数のエピソードが存在します。二人が恋人になったという話もあれば、友情のまま別れたという話もあります。
モテモテのオリオン
オリオンは正式に付き合っていたのはエオスでしたが、ほかにも美しい女性を見つけては追いかけたりしていました。なのでエオスとの交際にも陰りが見え始めました。
エオス「オリオン、最近あまり会ってくれないわね」
オリオン「もちろん君のことは大切だ。だけど、今日はアルテミスと狩りに行く約束をしているんだ」
エオス「アルテミス?あの冷たく厳しい女神と?」
オリオン「アルテミスの狩りの腕前はすごいぞ、私ほどではないけどな、ははは」
エオス「ちょっと!私と一緒にいる時間を作ってよ!」
オリオンは、エオスとの関係が潮時だと判断し、アルテミスに乗り換えました。
その後、オリオンは酒の席でも横柄な態度が目立つようになります。
オリオン「私に仕留められない動物は一つもないさ、私の狩りはすごいんだぞ」
天狗になったような、調子に乗った様子が目立つオリオンでした。
いよいよサソリの出番です
これまで散々好き勝手にやってきたオリオンでしたが、その態度によく思わない者も多くいました。その一人が大地を司る母神ガイアです。
ガイアは大地の神なので、ガイアがいるからこそオリオンは狩りをし、その恵みを受け取れるのです。その恩恵を忘れているオリオンに怒りました。
ガイア「オリオンよ、お前の態度は大地に対する冒涜だ。私の加護によって生かされていることを忘れたか?感謝を忘れ、欲をむさぼるばかりのお前に、罰を与えよう」
ガイアの命令を受け、毒サソリは、静かにオリオンに忍び寄りました。その毒針がたった一突きすると、オリオンはあっさりと死にました。
手際のよい仕事ぶりが称えられる
毒サソリの仕事ぶりは、実に見事でした。最小限の労力で、完璧な仕事をしたのです。
色んな神々「サソリ君、よくやった、君の腕は素晴らしい」
神々は蠍を賞賛し、その素晴らしさを称えるため、天にあげて星にしました。これが蠍座として語り継がれています。
つまり、さそり座の神話において、蠍が出てくるシーンはほんの一瞬ですが、ガイアの命令でオリオンを殺したのが蠍なのです。
ちなみにこのとき、オリオンの死を悲しんだアルテミスが、神々の王ゼウスに頼み、オリオンも星座にしてもらいました。これがオリオン座になっています。
さそり座が東の空に出ると、オリオン座は西の空へ引っ込んでしまうように、オリオンは蠍を恐れていると言われています。
神話から見る蠍座の性格
星座占いでは、蠍座の人間は警戒心が強く、孤独を愛し、行動力が高い性質を持っています。
まさに毒さそりのように、さそり座の人も、孤高の必殺仕事人のような要素があるかもしれませんね。
このストーリーをふまえて
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