乙女座の神話デメテルの娘ペルセポネが、ハデスに騙される話
乙女座は、農業の女神デメテルが娘のペルセポネを心配する姿が星になったとされています。具体的にどんな状況だったのか、ストーリー仕立てでお話します。
冥界の王ハデスが恋をする
農業の女神デメテルと、神々の王ゼウスとの間に、ペルセポネという美しい娘がいました。
そんなペルセポネに冥界の王ハデスは恋をし、冥界に連れ去ることを考えました。
ある日、ペルセポネが花を摘んでいると、地獄の扉が開き、地底の冥界から現れたハデスが馬車に乗って迫ってきました。
ハデス「美しいペルセポネよ、お前が欲しい」
ペルセポネ「え、突然なにを…」
青白い顔をしたハデスにペルセポネは恐怖を感じましたが、ハデスはいきなり冥界の馬車にペルセポネを引きずり込みます。
ハデス「お前は冥界で、私と共に生きるのだ」
ペルセポネは悲鳴を上げ、冥界へと連れ去られました。
それと同時に、地上では農業の女神デメテルが娘の失踪に気づき、悲しみと怒りで大地を凍りつかせました。
デメテル「ああ、私のペルセポネが!」
デメテルの絶望の叫びが神々に響き渡りましたが、冥界の扉には鍵がかかり、固く閉ざされてしまいました。
デメテルの嘆き
デメテルはわが娘が連れ去られたことを知りショックを受けます。
悲しみに暮れるデメテルの嘆きに、大地も共鳴しました。草花や穀物たちはしおれ、色褪せていきました。農業の女神の悲しみに、あらゆる恵みが枯れていきました。
畑には荒廃の兆候が現れ、人々は飢えに苦しみました。
農夫「これはデメテル女神の怒りでしょうか…畑が!」
農民たちは自らの収穫を失い、街の中には食糧不足の兆しとともに、不安と絶望が広がっていきました。
ゼウスが出向く
この事態にデメテルの弟であり、夫でもあるゼウスが気づきます。
ゼウス「姉よ、落ち着くのだ。我が娘はきっと冥界で安全だ」
しかし、デメテルは元々ゼウスに好意的ではなかったので、その言葉は響かず、大地を荒廃させ続けました。
デメテル「私の娘を返して!」
他の神々もデメテルの嘆きに心を痛めていましたが、冥界の扉は閉ざされたままでした。
ゼウスは直接ハデスの元へ行って説得しに行くことにしました。
ゼウス「ハデス、この事態は深刻だ。デメテルが嘆き、大地は凋落している」
ハデス「何故だ?私が取った行動は必然だ」
ゼウス「ペルセポネを返すんだ」
ハデス「私はペルセポネを愛している。彼女はここで幸せだ」
ゼウス「しかし、デメテルは母親だ。彼女の悲しみが続く限り、大地は再び栄えることはないだろう。このままでは神々と人々が苦しむことになる」
ハデス「…わかった、その通りだな。では強引なことをしてしまったお詫びに、ペルセポネにお土産を渡そう」
ハデスは、ペルセポネを呼びました。
ザクロの甘い罠
ハデスはペルセポネにお詫びとしてザクロの実を渡しました。
ハデス「ペルセポネ、私の心からのお詫びだ。これを君のために贈りたい」
(ハデスは手に持っていたザクロの実を差し出す)
ペルセポネ「ザクロの実…?」
ハデス「帰る途中、これでも食べるといい」
ペルセポネはもう帰れると思うと安心して、何の疑いも持たず、ザクロの実を受け取りました。そして、食べながら帰りました。
冥界のルール
ペルセポネが帰ってきたことでデメテルは喜びました。
デメテル「ペルセポネ!帰ったのね!」
喜ぶのもつかの間、ペルセポネの手に持っているザクロを見て驚きました。
デメテル「ペルセポネ…まさか、その実を食べたの?」
ペルセポネ「ええ、ハデスがお詫びとして、これをくださったの」
デメテルは愕然としました。
ザクロは冥界の食物であり、食べた者は死者の領域に縛られ、冥界から抜け出ることができなくなるのです。
ペルセポネはそれを知らずに食べてしまいました。
ペルセポネどうなる!?
ペルセポネは冥界で過ごせなければならなくなりました。
しかし、デメテルは抗議します。
デメテル「うちの娘はザクロの意味を知らずに食べたのよ、だから冥界の掟なんて無効よ」
ゼウス「しかし、冥界の法則には逆らうことはできない」
デメテル「だからって納得できないわ、何か方法はないかしら」
ゼウス「そうだな…ペルセポネが食べたザクロの実を、一粒が一か月として換算しよう。彼女が食べた実は3粒だから、1年のうち3か月の間は冥界で過ごすのだ」
デメテルはそれが一番の妥協案であると考え、受け入れることにしました。
ハデスもこの提案を受け入れました。
こうしてペルセポネは、一部の時間を冥界で過ごすことが決まりました。この出来事が四季の始まりとされ、ペルセポネが冥界に行っている時期は冬となり、作物が育たない時期となったのです。
デメテルの悲しみと喜びが、農作物の成長と変化に結びついているのです。
悲しむ母デメテル
ペルセポネが永遠に冥界へ行くことはなんとか逃れることができましたが、定期的にいなくなるため、デメテルはペルセポネがいない間だけは内にこもるようになり、その期間は農作物が育たなくなりました。
このデメテルが娘を思って心配している姿が星になり、乙女座として語り継がれるようになりました。
乙女とは娘ペルセポネのことではなく、母デメテルのことだったのですね。
神話から見る乙女座の性格
星座占いでは、乙女座の人は現実主義で論理的思考に優れ、几帳面で優れた分析力を持っています。
ペルセポネが助かったのも、ザクロの実を1粒3か月というルールで決まった様子にあるように、乙女座もルールで動き、感情と理屈をバランスよくもつ星座と言えるかもしれません。
このストーリーをふまえて
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